アメリカMBA留学記

投資銀行業界での勤務を経て、MBA取得のためにアメリカに渡ったKokomosuによる留学体験記

Why MBA

MBA受験において避けることのできない道、なぜMBAの過程を経て学びたいのか(=Why MBA)について、私が考えているところを掲載させて頂きます。

(特に社費での留学ということもあり、)ご多分にもれず建前と本音双方が存在するのですが、私の場合は以下のような感じとなっています。


【建前】(嘘ではなく、社内選考やMBA選考の過程においてある程度説得力を持って説明できるストーリー)

>コーポレートファイナンス理論の習得 
 「投資銀行マンとして、お客様に対して訴求力を持って提案するに足るコーポレートファイナンス知識を得ること」が目的の一つでした。
 入社して2年程度が経った時に、ある程度規模感もあり、最終的に一部報道機関よりDeal of the Yearを頂戴することができたプロジェクトにアサインされる機会がありました。当該プロジェクトは、私の所属する会社に十分なノウハウの貯まっているものでもなく、若い年次ながら手探り状態の中を自分で考え、判断し、作り上げていく必要のあるもので、クロージング時(対外公表時)には大きな達成感を感じることもできました。
 でも、まさにその対外公表時において、案件を同業他社のアナリストから批判されてしまったのです。詳細までは覚えていないのですが、「この案件はコーポレートファイナンス理論上実施すべきではないものだ」との概要だったと思います。このアナリストの指摘が正しいかどうかの検証はしておらず、その記事を見たときには「うるさいアナリストだなあ」位にしか思っていなかったのですが、よくよく胸に手を当てて考えてみると、確かにそのような切り口でお客様に対して提案をしていなかったのではないか、というより、社としてそのような提案をするの力が欠けていたのではないか、との結論に辿り着きました。
 実務に直結するコーポレートファイナンス理論を学び、自分そして会社の提案訴求力を向上させたい、これが一つの思いです。

【本音】(諸々の選考プロセスで述べたこと、述べなかったこと、双方を含みます)
>「この人の下で働きたい」と思って頂けるような、リーダーシップ能力の構築
 先述の通りいわゆる投資銀行業界における勤務を経ての留学になるのですが、この業界、如何せん労働環境が極めて劣悪なんです。長時間労働だけならいざ知らず(まあ、この点は好き好んでやっている人も多いと思うのであまり問題ではないとは思うのですが)、働く気を失わせるような要因のオンパレードです。ミーティングの前に「お前は一言も話さなくていい」と言われたり、大勢の社員がいるまん真ん中で立たされて怒鳴り散らされたり、、、例を挙げれば枚挙に暇がありません。また、人事部における勤務を通じて全社を俯瞰的に見る機会を頂いた中で、かかる問題が局所的なものではなく、社内の様々な部署に偏在しているのだということにも気づかされました。
 別に「全社的にこのような労働環境を改善したい」と大仰なことを考えている訳ではないのですが、せめて自分が管轄する範囲においてはチームメンバーに心地よく働いて欲しい、そしてそのために必要な知識と経験を得たいとの考えに至り、この点、MBAにおけるリーダーシップの分野における学習が最適との考えに至りました。もう少し詳述すると、アメリカ人は何かいいと思われる抽象的な概念を理論化し、誰にでも習得できるような仕組/機能としてまとめ上げるのがとても上手いとの話を耳にしたことがあります。触れたことがある方なら「リーダーシップ」という学問領域がいかにふわふわしたものかお分かりかとも思いますが、MBA留学を通じてまずは仕組としてこれに関する知識を得た上で、自らの理想とするリーダーシップ像に近づくべくこれを昇華させることができると考えた、ということです。

>サバイバルスキルとしての英語力の獲得
 最近「選択する未来」とのお題目にて、「50年後に人口1億人維持を目指す」といった目標が掲げられていました。この目標のインプリケーションは、「どんなに頑張っても、50年後にはせいぜい1億人しか人口を維持することができない」だと思っています。別に改めてこの場で指摘することでもないとは思うのですが、日本の将来はその位暗いと個人的には踏んでいます。
 そのような未来を前提とした場合、この世界で生きていくには国際経験/海外経験が少なすぎるな、と常々感じておりました。まだ頭も柔軟なこの時期において海外経験を積み、生活を送るに足る英語力を身につけ、何かあった時には家族を引き連れて海外でも生活できるような素地を築いておくことが必要だ、と考えた訳です。
 (ちなみにこの話は選考のプロセスにおいては一切お話していません。基本的に海外MBA留学は英語力を身につけるものではなく、英語力を前提として経営を学ぶ場であるので、この点をはき違えていると思われるリスクを排除しておくためです。)

 まだまだ私の留学生生活も始まったばかりなので、これらの初心を忘れることの無きよう、頑張っていきたいものです。