アメリカMBA留学記

投資銀行業界での勤務を経て、MBA取得のためにアメリカに渡ったKokomosuによる留学体験記

GMAT対策について

MBA受験の二つ目の関門は、GMATだと思います。アメリカ人が英語で解いても難しいのに、純ドメの日本人が太刀打ちするのは大変ですよね(^^ゞ。ということで、GMAT対策についての私見を掲載したいと思います。

全体感:

 濱口塾の教材演習が全てでした。TOEFLよりも技術的な側面が重要だとも思いますし、短期決戦でなんとかなるテストでもあるかと思います。何かしらの手段を通じて解法のストラテジーを身に着け、特に苦手なセクションの問題演習を積み重ねつつ、本番直前には実際と同じ形式と時間制限にて模擬試験を実施されるのが良いかと思います。

 Verbal:(最高スコア29点)
 繰り返しになってしまいますが、濱口塾の教材が全てでした。各セクションの解法がありますので、ここをしっかりと押さえつつ、濱口塾の問題演習をこなしましょう。私は全てをこなすことはできませんでしたが、全問題に当たることができれば相当の力がつくと思います。

 Math:(最高スコア50点)
 文系人間なのですが数学好きだったので、あまり苦労はしませんでした。(といっても満点は取れませんでしたが。。)初回受験時の直前に問題の形式をさらっと見た程度です。

 IR:(最高スコア7点)
 あまり教材らしいものもなく、ぶっつけ本番で実施の上、本番にて力を付けていくという感じでした。結局は VerbalとMathの延長上にあるテストだとも思いますし、各校のアドミッションがどこまでスコアを見ているのかもよく分からない面もありましたので、特段の対策はいらないかなとも思います。(今後各校の方針が変わる可能性もあるかと思いますので、その点はご留意ください。)

 AWA:(最高スコア5.5点)
 これも濱口塾のテンプレートを頭に入れて本番でアウトプットしただけです。TOEFL Writingの延長上にあるテストでもあると思いますので、本腰を入れた対策も不要かと思います。ただ、エッセイのできとAWAのスコアに著しい乖離があると、エッセイの自作を疑われることもあるようなので、この点は注意された方が良いかと思います。

なんだか濱口塾の宣伝みたいになってしまいました笑

 

最後ちょっとだけ勇気を出してみる

海外MBAというと頭でっかちなイメージが先行するかと思いますが、そんなことはありません。実務に生きる能力を身に着けるという意味では、机上の空論と戯れているよりももっと普遍的な”基本的素質”を体得するほうが良いようで、実務者育成を掲げるMBAではアクティビティを通じた学習の機会も多くあります。

エモリーでも本プログラムが始まる前に、様々なアトラクションを通じて”基本的素質”を学びます。教訓は今まで言い古されてきたものばかりなのですが、齢30歳にして異国の人と真面目に取り組むことで、色々と気づかされることも多々ありました。

アクティビティの一つに、10mほどの高さまでポールを登り、そこからジャンプするというものがありました。もちろん安全綱が付いていて、その綱をチームメイトが掴んでいる、という状況です。仲間を信じてジャンプするわけです。絶叫系アトラクションにはかなり強い方だし、別に怖さみたいなものは感じなかったのですが、そういえば、ジャンプするときに必要な一瞬の勇気は、日々の生活に要される勇気と同じだなと、思いました。

 

大学付属の高校から、東大を受験しようと決意した時の勇気。

全く持って門外漢である、ITコンサルのバイトを始めた時の勇気。

コロンビア大学の学生が来日した時に、研究発表をするために手を上げる勇気。

どうせなら一番きつそうな仕事をしようと、IBを就職先に選んだ勇気。

ECMでグローバルオファリング案件へのアサインメントを受諾した勇気。

MBA社内選考に手を上げる勇気。

200人近い多様な人種の人前で、英語で話すときの勇気。

 

そういえば、全て自らの人生をいい方向に持ってきている要素なのだなと思います。そして、もちろん、”安全綱”を持っていてくれている人がいることが前提です。

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東アジアの人は、だいたい同じ

日本人が海外のMBAに留学する際には、よほど英語力が堪能でない限りプレスクールに通うことになります。要は、きちんとMBAプログラムで学ぶことができるように英語の基礎力はしっかりとしておきなさいね、という趣旨の語学学校です。

私も海外経験には乏しく(アジア諸国にちょろっといったことがある程度)、ご多分に漏れずプレスクールに通っていたのですが、今年度の出席者構成を見ると、日本・韓国・中国・台湾の四か国のみでした。MBAの本プログラムにおいては南米・東欧等様々な人種の人も参加することを踏まえると、東アジア人の英語力は客観的に見て劣後しているのかなと思わずにはいられません。(ちなみに、やはり日本人の英語力は断トツで低いと思います笑。)

さて、このプレスクールなるもの、個人的に色々な発見をすることができたいい機会となりました。日本にいる時も東アジアの人と接する機会は結構あったのですが、いずれの場面においても、相手は日本語でコミュニケーションをとることができ、属する集団には日本人が圧倒的に多いというアドバンテージを有する中でのコンタクトでした。翻って、プレスクールにおいては、使用言語は英語、また、日本人がマジョリティであるとは必ずしも言えない状況においてコミュニケーションをとることが必要になります。「中立的な立ち位置」にて対話をする必要があるのです。

渡米前は、東アジアの人との「中立的な立ち位置」でのコミュニケーションに難しさを感じるのかな、と考えていました。自分にアドバンテージが無い状況において、歴史的な経緯(戦争)を踏まえつつ交流することの難しさを頭に置いていたわけです。もちろん、どの国の人もそのような歴史観を口に出すことはありませんが、何かしらのわだかまりやもどかしさを多かれ少なかれ有しながら接点を持っているようです。(お酒を飲みながら話をすると良くわかります。)

でも、実際に腹を割って話をしてみたり、授業を通じてその身振りを観察してみると、東アジアの人って本当に同じなのだな、と感じます。他の国の人ほど自己主張は強くないし、人との距離感をものすごく意識しています。真面目です。

韓国人の友人が言っていた言葉が印象的でした。
「韓国と日本は仲が悪いけど、それはあくまでもPoliticalな話に過ぎない。政治家も僕たちみたいに顔を突き合わせて仲良く交流すればいいのに。そうすれば、古い歴史観に囚われることなく、良好な関係を築くことができるのに。」

そういえば、日本にいて東アジアの人と接していたときも、直接国家間の関係性の悪さを意識したことはありませんでした。”仲の悪さ”は、報道メディアを通じて”知った”に過ぎなかったような気がします。

エボラ熱感染の米国人2人、米国内で治療へ

現在通学中のエモリー大学は、医学系の研究が世界的にも盛んであり、世界でも有数の疫学研究機関として知られるCDC(Center of Disease Control and Prevention)や、米国立ガン研究センター(Winship Cancer Institute) の本部が隣接して設置されています。

 

日本において「エモリー大学」について説明するのには骨が折れることも多々あるのですが(笑)、医学系の方にはすんなりと理解されます。聖路加国際病院の日野原重明理事もエモリー大学の医学部への留学歴があるんですね。

 

そのエモリー大学に、エボラ出血熱に感染したアメリカ人医師二名が搬送されるとのこと。アメリカでエボラの理療が施されるのは初めてのようです。在校生として、誇らしい限りです。


http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304180804580066693144172772

TOEFL対策について

今日は、MBA受験の一つの関門でもあるTOEFLについての私の対策方法を掲載したいと思います。

 全体感:
 まずは予備校での学習を通じて基本的な解法のストラテジーを会得し、できるだけ多くの受験をこなしました。(2013年の夏頃まではテスト間の期間を一定程度空けるというルールも無く、また、受験費用は会社から補助が出る仕組みにもなっていたため、自宅で問題演習をダラダラやるよりも、本番の緊張感の中で集中的に且つ大量に学ぶ方が早いとの結論に至ったということです。)
 予備校選びがうまくいったこともあり、3か月程度で30点以上のスコア上昇を達成し、6月の頭にはまずは一つの目標スコアである100点を超えることができました。確保可能な勉強時間も考慮の上、その後はGMAT/エッセイにシフトしたためその後点数の改善は叶いませんでしたが、最終的な着地点としては満足のいくスコアだったと思います。

 Reading:(最高スコア30点)
 Web TOEFLの教材を(課題も含めて)しっかりと指示通りにこなしたのが全てかな、と思います。後は多読も睨みつつ、休憩がてら英文の本をパラパラと読んでいました。日本人である私たちにとってそこまで難しいパートとも思わないですが、個人的には受験回によって大分難易度に差がある印象もありますし、「GMATのRCをこなしていく上で点数が上がる」ものでもない気がします。 

 Listening:(最高スコア30点)
 このパートにもストラテジー的なものは当然存在するのですが、最も“実力”が重要なところでもあるのかな、という気がします。Web TOEFLの教材をこなしつつ、自宅での学習時にはシャドーイングやディクテーションを地道に実施したことはもとより、通勤中/入浴時にもさまざまな教材を用いてリスニング演習を図りました。Reading同様、受験回によって難易度に差がある気はしますし、このパートの難易度が全体のスコアを左右するとも言われています。ただ、感触とスコアには全く相関が無い気がするので、途中で投げ出さず、最後まで集中することが大切かと思います。(抽象的な話ですみません。)

 Speaking:(最高スコア24点)
 まずはE4TGの解法を体得しました。ある程度のストーリー(自分のひな形)を頭に入れ、これを本番の問題内容に応じて柔軟に適用するというものでしたので、入浴中にこのストーリーを復唱したり、朝起きた直後にいくつか問題をこなしてから通勤する、といった方法を採りました。根本的な解法では無いのですが、特に1番と2番については周りの方の解答内容から問題が推測できることも多く、点数を上げるためにはこの環境をうまく利用すべきであることは言うまでもありません。

 Writing(最高スコア29点)
 テクニカルに点数を取ることが比較的容易なパートである気がします。問題演習量や文法力も大事ではありますが、何かしらのひな形を頭に入れ、450ワード以上を目指して大量の文書を書くことを目指しましょう。単語量とスコアの正の相関にいち早く気付くことがまずは大事だと思います。 

受験スケジュールとTOEFL/GMATの予備校選び

今日は、受験スケジュールと予備校選びについて記したいと思います。

何分スタート時点での英語力が高くなかったため、スコア的には必ずしも満足できるものではなかったのですが、参考までに。

■ スケジュール

スケジュール
2012年秋頃:社内選考の開始を見てMBA留学を決意
2013年初頭:社内選考突破
2013年2月:力試しにTOEFL初受験(スコア71点)
2013年3月:TOEFL学習ツール/カウンセラー利用の開始(後述)
2013年6月:TOEFL102点獲得(出願スコア)。アドバイスもあり、GMATにシフト
2013年7月:AGOS夏祭りへの参加をきっかけに、志望校選択を開始
2013年9月:GMAT初受験(スコア600点)
2013年10月:GMAT670点獲得(出願スコア)。エッセイ/アプリケーションに本格シフト
2013年11月:Emory含め、数校のキャンパスビジットへ
2013年12月:7校への出願を終了
2014年3月:Emoryからの合格を得る

■ 予備校選び
TOEFL:
 会社の先輩の薦めもあり、Reading/Listening/Writing はWeb TOEFL を利用しました。
 一番の魅力は、自宅で好きな時間に受講することができる点です。社費での派遣が決まっていたものの、それを理由として仕事の負担感が軽減される訳ではなく、運良く早く帰ることができた平日や週末に纏まった時間を割いてコツコツと進めていました。同じような境遇にあり、定期的な時間の確保が困難である方にはおすすめです。
 コンテンツとしては、Reading/Listeningは若干平易なレベルだと思います。演習問題の長さも本番対比では相当短く、受講中は「これで大丈夫なのかなあ」と心配もしていました。ただ、問題解法のストラテジー的なものはしっかりとしており、「簡単な問題演習を通じて応用の効く力を身につける」ことが趣旨なんだったのかな、と今振り返ると思います。海外経験も無く、スタート時点の英語力が高くなかった私にはちょうど良かったと思いました。Writingは本番同等か若干難しいレベルでしょうか。これについてもフォーマットがしっかりとしており、またオンラインでの添削を受けることができるので点数上昇にはいいと思います。(Web TOEFLのフォーマットを使っただけで、20程度だった点数が、安定的に27以上で推移するようになりました。)
 また、SpeakingはE4TGを利用しました。ETSの予備校対策も進んでいる中で、解法のストラテジーには賛否両論あるところだとは思いますが、10点台の方が20点台前半に持っていくにはいいかと思います。私は初回受験時のスコア15点を、MAX24点まで上げることができました。

GMAT:
 濱口塾を利用しました。音声教材を得ることができるため、先述のWeb TOEFLと同様、自宅で学習できる点が最大のメリットだと思います。また、問題量が大変豊富であり、受験を通じて捌ききれないほどでした。GMATは問題演習量が命なので、この点も大変魅力かと思います。

Why MBA

MBA受験において避けることのできない道、なぜMBAの過程を経て学びたいのか(=Why MBA)について、私が考えているところを掲載させて頂きます。

(特に社費での留学ということもあり、)ご多分にもれず建前と本音双方が存在するのですが、私の場合は以下のような感じとなっています。


【建前】(嘘ではなく、社内選考やMBA選考の過程においてある程度説得力を持って説明できるストーリー)

>コーポレートファイナンス理論の習得 
 「投資銀行マンとして、お客様に対して訴求力を持って提案するに足るコーポレートファイナンス知識を得ること」が目的の一つでした。
 入社して2年程度が経った時に、ある程度規模感もあり、最終的に一部報道機関よりDeal of the Yearを頂戴することができたプロジェクトにアサインされる機会がありました。当該プロジェクトは、私の所属する会社に十分なノウハウの貯まっているものでもなく、若い年次ながら手探り状態の中を自分で考え、判断し、作り上げていく必要のあるもので、クロージング時(対外公表時)には大きな達成感を感じることもできました。
 でも、まさにその対外公表時において、案件を同業他社のアナリストから批判されてしまったのです。詳細までは覚えていないのですが、「この案件はコーポレートファイナンス理論上実施すべきではないものだ」との概要だったと思います。このアナリストの指摘が正しいかどうかの検証はしておらず、その記事を見たときには「うるさいアナリストだなあ」位にしか思っていなかったのですが、よくよく胸に手を当てて考えてみると、確かにそのような切り口でお客様に対して提案をしていなかったのではないか、というより、社としてそのような提案をするの力が欠けていたのではないか、との結論に辿り着きました。
 実務に直結するコーポレートファイナンス理論を学び、自分そして会社の提案訴求力を向上させたい、これが一つの思いです。

【本音】(諸々の選考プロセスで述べたこと、述べなかったこと、双方を含みます)
>「この人の下で働きたい」と思って頂けるような、リーダーシップ能力の構築
 先述の通りいわゆる投資銀行業界における勤務を経ての留学になるのですが、この業界、如何せん労働環境が極めて劣悪なんです。長時間労働だけならいざ知らず(まあ、この点は好き好んでやっている人も多いと思うのであまり問題ではないとは思うのですが)、働く気を失わせるような要因のオンパレードです。ミーティングの前に「お前は一言も話さなくていい」と言われたり、大勢の社員がいるまん真ん中で立たされて怒鳴り散らされたり、、、例を挙げれば枚挙に暇がありません。また、人事部における勤務を通じて全社を俯瞰的に見る機会を頂いた中で、かかる問題が局所的なものではなく、社内の様々な部署に偏在しているのだということにも気づかされました。
 別に「全社的にこのような労働環境を改善したい」と大仰なことを考えている訳ではないのですが、せめて自分が管轄する範囲においてはチームメンバーに心地よく働いて欲しい、そしてそのために必要な知識と経験を得たいとの考えに至り、この点、MBAにおけるリーダーシップの分野における学習が最適との考えに至りました。もう少し詳述すると、アメリカ人は何かいいと思われる抽象的な概念を理論化し、誰にでも習得できるような仕組/機能としてまとめ上げるのがとても上手いとの話を耳にしたことがあります。触れたことがある方なら「リーダーシップ」という学問領域がいかにふわふわしたものかお分かりかとも思いますが、MBA留学を通じてまずは仕組としてこれに関する知識を得た上で、自らの理想とするリーダーシップ像に近づくべくこれを昇華させることができると考えた、ということです。

>サバイバルスキルとしての英語力の獲得
 最近「選択する未来」とのお題目にて、「50年後に人口1億人維持を目指す」といった目標が掲げられていました。この目標のインプリケーションは、「どんなに頑張っても、50年後にはせいぜい1億人しか人口を維持することができない」だと思っています。別に改めてこの場で指摘することでもないとは思うのですが、日本の将来はその位暗いと個人的には踏んでいます。
 そのような未来を前提とした場合、この世界で生きていくには国際経験/海外経験が少なすぎるな、と常々感じておりました。まだ頭も柔軟なこの時期において海外経験を積み、生活を送るに足る英語力を身につけ、何かあった時には家族を引き連れて海外でも生活できるような素地を築いておくことが必要だ、と考えた訳です。
 (ちなみにこの話は選考のプロセスにおいては一切お話していません。基本的に海外MBA留学は英語力を身につけるものではなく、英語力を前提として経営を学ぶ場であるので、この点をはき違えていると思われるリスクを排除しておくためです。)

 まだまだ私の留学生生活も始まったばかりなので、これらの初心を忘れることの無きよう、頑張っていきたいものです。